Smoky Quartz

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「聖痕」感想

最近ちょろちょろ読んでた筒井康隆「聖痕」読了しました。
見目麗しい主人公は五歳の時、変質者に阿部定よろしくアレをちょん切られてしまうところから物語は始まります。
どんな展開になるんだろうと思ってたけど主人公の人生をつらつらと語っていくってな具合。
出てくる言葉がやたら難しく感じるのは自分の語彙力の至らなさか?と哀しくなりましたが
どうやら多くの人が難しいと感じていたようでちょっとホッとしたw
注釈付いてるので読むのに問題はありませんでした。

去勢された事によって主人公は食欲以外の欲から解放された人生を送る訳だけど
見た目は勿論思想が浮世離れし過ぎてて最早神だこれ。
言い寄ってくる男や女達、身近な人達の愛欲やら何やらを
一つ上の次元から眺めて厭悪する事なく見守ってる。
箱庭の人間達の営みを愛でる神ですわ。
中学だったか高校だったかの場面で友人と話してる内容が印象に残りました。
欲がなけりゃ芸術は生まれない。でも自分には欲が無いから芸術の良さが理解出来ない、という。
そう、欲があるから人は芸術を生み出せる。
そんな主人公が唯一執着したのは食でした。
主人公曰く、性欲が無い分味覚が研ぎ澄まされていったのだろう。
そうして彼は風流人を相手とした料理人になります。

ちなみに。
主人公には弟と、自分の娘として育てていた歳の離れた妹がいるんですが。
私は弟くんが好きで堪らないw
兄が聡明で見目も良いのに対し弟は粗暴で祖父母両親に厄介者扱いされててこれに萌えない訳がないでしょう。
名門の家な上、優秀な兄と妹と比べられ恥晒しと罵られる弟くんがそらもう不憫。
お祖父ちゃんの件はやり過ぎかとも思うけどあんな扱いされてたら仕方ないかな…。
成長してからは兄は美人、弟は男前ってな感じの表現されててそれがまた良い。
兄だけは弟を拒絶する事がなかったから二人の間に絆がちゃんとある。
兄×弟だこれはw
それとお隣さんの双子ちゃんとの絡みが可愛いんですよ。
多分どっちかとくっつくんだろうなーと読み進めていたらやっぱりな。
欲の無い主人公より欲まみれで俗な弟くんのが愛しいと読後にしみじみ思ったのでした。
  1. 2016/06/13(月) 19:05:57|
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